えにし糸

2/11
前へ
/89ページ
次へ
「ちょっと遅れたけど、今日が初出社ね。頑張ってきてね、私のハンサムさん」 まだ慣れない、ネクタイを直してあげると正は照れながら、背筋を伸ばした。 「行ってきます、つや子。頑張ってくるよ」 ちょうどあの事故から一年が経っていた。 正のために早起きしてお弁当を作り、朝からこんなに食えないよと言う正を無視して、ご馳走を作った。 飛びきりの笑顔に飛びきりの笑顔を返し、正に口づけをした。 「ねえ、和也。妬いてる?」 正には和也のことは話してある。写真も置かせて貰うことも許してもらった。
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加