夜から深夜

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「里奈…これ…お前が…?…」 「そうだよ…あたしの大事なモノ 取られたから…取られたら やり返すの当然でしょ!?アハハ!!何 驚いてんの?馬鹿みたい!アハハハ!!」 血の臭いと静寂の中で 里奈の屈託の無い笑顔と笑い声が響き渡った。 俺は、倒れそうで吐きそうで、これだけ言うのがやっとだった。 「お前の大事なモノ?何?誰が取ったって?」 「詩織さえいなければ隆と結婚して赤ちゃん産めたのに…詩織さえいなければ…」 俺は急に里奈の妊娠の事を思い出した。「待てよ それは詩織のせいじゃない!俺が悪いんだよ…なのに詩織を…」 「あたしが何も知らないと思ってるの?隆…あたしより先に詩織と付き合ってたんでしょ?!あたしに声かけたらどうなるか反応みたいからやってって詩織に言われたんでしょ?!二人で あたし騙して嘘ついて楽しかったんでしょ?! 昨日も赤ちゃんの事でメールしたのにシカトだったじゃん…あの瞬間 隆から大事なモノ全部奪ってやるって決めたの! 詩織も…昔からあたしの大事なモノ いつも奪っていった…だからもう大切な隆と二度と会えなくしてやったの…隆が大好きだった詩織の顔も変えてあげたよ…あんなに醜くなっちゃった…あたしの赤ちゃんだけ死ぬなんて不公平だと思わない?皆 死ねばいいのよ!!」 その瞬間 里奈は上着のポケットから 先のキラキラ光るナイフを取り出した。 そしてさっきの夢と同じく俺の腹に深々とナイフが飲み込まれた。 薄れ行く意識の中で俺は 里奈が飾ったらしいクリスマスツリーを眺めていた。 ツリーにも詩織の血が、べっとり着いていたので 赤い飾りの付いたツリーに見えた。 やっぱりクリスマスは緑と赤なのかな… それが最後に俺の頭に浮かんだ事であった…。
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