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俺は今日も、あの方に命令された通り、人を殺した。
いつものように、あの方の住む屋敷へと戻る。
屋敷の長い階段を歩き、自分の部屋の前にさしかかった時。
「おう、帰って来たんか、キラ。」
気配も感じさせず、俺の後ろに立っていた白猫。
正確に言うと、白い猫耳と、尻尾を生やした、人型の生き物…、獣。
「堕天使猫…。」
「ん、どないしたん?
今日は一段と声が暗いナァ。」
「…何でもない。」
俺は堕天使猫に背を向け、扉を開けようとした。
「ちょい待ちィ。
…手、怪我したんやろ?
手当てしたるから、こっち来ィ。」
堕天使猫はそう言って、俺の腕を引っ張りながら歩く。
「ちょ…!
俺は平気だ…!」
「だァーめ。
あの方が心配するやろ?
大人しくしとき、キラ。」
…あの方。
俺の絶対的な存在。
あの方の事を言われると、俺は何も言い返せなくなる。
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