絶対

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2年前の、あの日。 俺は見知らぬ屋敷の、ベッドの上で目覚めた。 頭が酷く痛んで、ふと気付く。 自分が何者なのか、わからなかった。 いや、それだけじゃなく…。 今まで、どこで何をしていたのか? どこに住んでいたのか? 家族は…? …すべての記憶を、失っていた。 そんな時。 「あ、目ェ覚めたん?」 …あの白猫が、俺を見ていた。 「ホンマ、よかったナァ。」 白猫はニコニコしながら俺の寝ているベッドに腰掛ける。 「あの方が拾ってくれたんやで? 拾ってくれてなかったら、今頃野垂れ死んでたやろナァ。」 「…あの方…?」 「そや。 この屋敷の持ち主でな、ある組織の長や。」 俺の、命の恩人…。 「なぁ、その人に…、会えないか…?」
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