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俺は白猫に支えてもらいながら、あの方のいる部屋の前に行った。
「ここが、あの方の部屋や。」
そう言って、白猫は扉をノックした。
「…堕天使猫、か?」
扉の奥から、適度に低い、きれいな声が聞こえてきた。
どうやら、男の人…みたいだ。
「拾ってきた子が目ェ覚まして、貴方と話したいって言い出しましてな。
ほんで、連れて来たんです。」
「…そうか。」
…なんだか、懐かしい声だ。
ずっと前から、知ってるような。
「あ、あの…。」
俺は恐る恐る話し掛けた。
「…あぁ、もう体は大丈夫か?」
「え、あ、はい。
あの…、お礼がしたくて…。
入っても、いいですか?」
俺がそう言うと、あの方は黙り込んでしまった。
「…あの方は、自分の姿を見られたくないんや。
ここで話すだけにしとき。」
堕天使猫が耳元でコソッと教えてくれた。
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