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堕天使猫に連れて来られた医務室で、俺は堕天使猫に手当てをしてもらっていた。
「…別に必要ないのに。」
「ダメやって。
化膿したらどないするん?
化膿した部分、俺にナイフで抉られたいんか?」
「…っ…。」
俺は黙り込んだ。
さすがにそんな事はされたくない。
「いッ…つ!」
消毒液が思いのほか傷口にしみて、俺は声を漏らした。
「すぐ終わるから、我慢しィ。」
堕天使猫はそう言って、躊躇う事なく傷口に消毒液を吹き付けてきた。
俺は痛みに耐えるように目を瞑った。
「…思ったより、深いみたいやね。」
言いながら堕天使猫は傷口にガーゼを乗せ、そのまま包帯で俺の手を巻いた。
「よし、終わり。」
堕天使猫はニコニコしながら俺の顔を覗く。
「…ありがと。」
俺は小さくお礼を言って、堕天使猫に背を向けた。
「どーいたしまして。
あ、ちゃんとあの方に報告するんやで?」
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