おわりの季節 はじまりの季節

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 街路樹はすっかり葉を落とし,代わりに白いマシマロの衣を身に纏う。    その針を縫うようにして,人々は光のベールに包まれながら,愉快に,そしてどこか面倒くさそうに歩いてゆく。    ある人は時計を見ながらせかせかと‥‥‥。またある人は魔法の小箱を手に持ち,遠く離れた恋しい人と夢を語りながらゆったりと‥‥‥。    一年の間で,いちばんいろいろな時間が流れ,いろいろな空気が流れる。   ─老夫婦は暖炉に火を灯して想い出を語り,家を守る者は年の末に向かい,愛する家族を一つに纏める事のできる唯一の器を磨く。若い恋人たちは自分たちの未来を夢見て祝福し,子供たちは真っ白に塗り替えられた街の姿に歓び,すべてをエネルギーに変えはしゃぎまわる。
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