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※
要塞の内部を力なく歩く少女が1人。
ボロボロな、土で汚れたティーシャツに茶色の半ズボン。
腰までだらしなく伸びた金髪。
きちんと手入れがされていないせいで、毛先が絡まり、強くはねている。
本来ならば美しい金色の髪は、粉塵に汚され艶やかさは失われており、少女の瞳は、まるで人形かと思うくらいに生気を失っていた。
「おい!そこのお前!」
トカゲ男が1人の少女を呼び止めた。
「な、なんですか?」
少女は、とかげ男に呼ばれた事に恐怖を感じているのだろう。
急に呼ばれたせいで、体をびくっと震わせたのだが、呼ばれた後も膝が笑っており、体を小刻みに震わせていた。
警戒しながら、話を聞く。
「このゴミを捨ててこい」
そう言うと、袋一杯にゴミが包まれた、ゴミ袋3つを、投げつけられた。
「……分かりました」
逆らったら、どんな酷い仕打ちを受けるか分からない。
少女は仕方なく、トカゲ男の言うことを聞き、袋を肩に背負いながら、たどたどしく、ゴミ捨て場に向かう。
ゴミ捨て場は、要塞の地下にあるだだっ広い洞窟に、ただ捨てるだけの場所だった。
「……臭い」
なるべく鼻で呼吸をしないように、洞窟の上を見ると、砂がさらさらと、少しずつだが降ってきており、下には砂がこんもりと積もっていた。
おそらく、砂漠の砂が、落ちてきているのだろう。
「ふぅ……、疲れた」
ゴミを捨てて、終わりの無い仕事に戻ろうとすると、
“ズズズ……”
急に降ってきている砂の量が増え、かなりの量の砂がいっぺんに降ってきた。
(どうしたんだろう?
天井の穴が広がったのかな?)
いぶかしげに、降りしきる砂を横目で見ながら、洞窟を立ち去ろうとした、その時、
“ズドドドド!!”
大きな地響きと共に、何か大きな塊が落ちてきて、砂煙が舞い上がった。
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