130人が本棚に入れています
本棚に追加
「ゲホッ!
ゲェッホッ!」
砂の中から、リュックサックを背負い帽子を被り、腰に短剣を下げた少年が姿を現す。
「たっ……、だすかっだ……ゲェッホッ!
ゲホッ!」
先程の流砂に沈んでいったイサであった。
大量に砂を飲み込んだらしく、咳払いをしている。
「砂飲んぢまった……」
急いで、リュックサックの中をあさりだす。
「ニャッ!?」
リュックサックから、黒猫をつまみだして、ポイッと放り出した。
「あぁ、あった」
リュックサックの中から、水の入ったペットボトルを取りだし、キャップを空けて、水を口に含み、うがいをしだした。
「ガァ~、ペッ!」
口に含んだ水を、吐き出す。
「ふぅ~……、なんとか生きてるな。
それにしても、めっちゃくせぇ!
なんの匂いだ?」
あまりの臭さに、イサは鼻をつまんだ。
「こらっ!!
わしを投げるとはどういう事じゃっ!!」
突如、明らかに少年とは別の声が聞こえてきた事に、少女が驚いた。
「あぁ~もう、うっさい!
お前が邪魔で水が取れなかったんだから仕方ないだろ!」
少年が黒猫に向かってしゃべりだしたので、少女は困惑していた。
「な、なんじゃっ!
その言いぐさは!
痛い目をみんと分からんか?」
そして、驚く事に、黒猫がその少年に向かって、口を聞いていた。
少女は、あまりの事に驚き、声をあげてしまった。
「猫がしゃべってる!?」
最初のコメントを投稿しよう!