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「うっ!」
案の定、少年は袋小路に追い詰められてしまった。
「さぁ鬼ごっこは終わりだぜ」
トカゲ男は、腰に巻いてあった鞘から短剣を取り出し、じりじりと少年に近づく。
「アジトの秘密を知られたからには、生きて返すわけにはいかねぇなぁ。
ここには俺の仲間もいねぇ、黙って俺だけで喰ってやるぜ」
「え~、俺は喰っても美味くないと思うけどなぁ」
短剣を前にして、ものおじもせずに、笑みを浮かべながら冗談を言う。
「生意気なガキだぜ!
死ね!」
トカゲ男は短剣を振り下ろした。
『ビフォアフター』
少年が小さくそう呟くと、急に少年は光に包まれた。
「な、なんだ!!
一体!?」
トカゲ男は急な出来事にあせり、一歩後ろに退いた。
そして、光が完全に消えた時、トカゲ男はありえない物を見た。
「な!
な!!
なぁあ!?」
トカゲ男の目はまんまるに見開き、口はあんぐりと開けられ、そしてすぐに、殺そうとしていた自分が、殺される側にまわっていることを、瞬時に悟った。
トカゲ男の目前に、少年はいない。
トカゲ男の目に映るはドラゴン。
闇夜にいてよくは見えないが、全身青色の体をしている。
「ぎゃぁあああああ!!」
トカゲ男は慌てて逃げ出そうとするが、青いドラゴンは口から炎を吐きだし、トカゲ男を丸焼きにしてしまった。
「さぁて、情報も手に入った事だし、やつらのアジトに向かいますか」
ドラゴンがそうしゃべると。
「うむ、ヒグジオ砂漠に出発じゃ!
ゆけ!
ドラゴン!」
いつの間にか、ドラゴンの背中にくっついていた角の生えた黒猫がしゃべりだす。
「えばるな!」
角黒猫を乗せた青きドラゴンは、荒れた闇夜の街を飛び去った。
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