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「はぁっ……、はぁっ……。
イサ、体が焼けてしまいそうじゃ、そのリュックに避難させてくれんか?」
よろよろと灼熱の砂漠を歩くウーは少年に、心の底から懇願した。
「へあぁ……、へあぁ……。
ふざけんな、俺だって死にそうだっての。
ふうぅ……、一人だけ……、はぁっ……、楽しようとするなっ、ふぅ……、つの」
ウーにイサと呼ばれるその少年も、意識もうろう、身体中から水分が流れ出て、ふらふらな状態でとぼとぼと歩いていた。
「ほらっ!
はぁっ……、あっあそこに岩場があるぞ。
日陰で少し……、はぁっ……、休もう」
高さ2メートル、横幅3メートル程の岩場の影で、1人と1匹は、ぐったりとしていた。
「はぁっ……、2kmってこんなに遠いものだったっけ?
ドラゴンの姿になって飛んで行けば、あっという間なのに、この砂漠、歩きにくいっつの!
おまけに、熱いし!
熱いし!
熱いし!
あ゙~づ~い゙~じ~!!」
「はぁっ……、まったく、お主が、城の場所をきちんと覚えておかぬから、こういった事態におちいるのじゃ!
大体出発したのは、まだ夜中の5時だったのに、ここについた時には既に日が照っているではないか!
やっぱり、こやつの記憶をあてにしたわしが馬鹿じゃった……」
「おまえは、本当に、このあっついのに、これ以上俺を熱くさせたいのか!?
大体、俺はもうすぐ夜が明けるから、出発は次の日にしようって言ったんだ!
それなのに、一刻も早く出発するのじゃ!
とかいいやがって!
このクソネコ!」
イサは愚痴を垂れながら、ウーのほっぺたを両方の手でひっぱる。
「ひだだだだっ……
あいをふふ(何をする)
あえんあ(やめんか)」
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