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怒りをこめ、ウーのほっぺたをつねっていると、
「ひはは~(貴様~)
はへひはいひへおんあほほひへいふ!
(誰に対してそんな事してる!)」
ウーは怒りの形相でイサを睨み付けた。
すると。
「ぎゃぁあああ!!
ぃ、痛い痛い!!
ぁ頭が割れる!!
ごめんなさい!!
ごめんなさい!!
やめてぇえええ!!」
イサは叫び声をあげた。
睨み付けただけで、どこにもふれてはいない。
それなのに、急に、つねっていた両手を離して、頭を抱えこみ、のたうちまわる。
「ふんっ」
ウーがそう言うと、イサの頭痛も止まり、おとなしくなる。
「わしに対して、無礼な態度をとるな!
おぬしの頭につけているヘアバンドは、わしが念じれば、いつでもおぬしの頭を砕く事なんて容易いのじゃぞ!」
「ぜぇっ……、ぜぇっ……。
ふざけんな!!
こっちはちょっとつねっただけじゃねぇか!!
反則だ!!
横暴だ!!
やりすぎだ!!」
少し目を潤ませ、よだれをたらし、息を切らしながらイサが抗議する。
「大体、こんな灼熱の砂漠でヘアバンドは蒸れるんだよ!
後でまた着けるから、外してくれ!!」
「外したら、お主絶対に逃げるであろう」
そう告げると、イサは暫く言い訳を考えたが、結局思い浮かばずに、愚痴を吐き出す。
「あぁ!
逃げるさ!
ええ!
もちろん!
そりゃぁ逃げますよ!
誰が好き好んで、命を張ってまで人助けなんかするかっての!!
だぁーー!!
このヘアバンさえとれれば!!」
頭にぴったりとくっついて取れないヘアバンドを、無理やりひっぺがそうと、奮闘する。
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