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「お主も懲りないのう。
そのヘアバンドはわしが許可しない限り、決して取る事はできんと分かっておるじゃろう」
イサはぎろりと恨めしそうにウーを睨み付ける。
その視線に、ウーはびくつく。
「うっ……、分かってるとは思うが、わしが死んだら、そのヘアバンドが急激に縮み、お主の頭蓋骨を破壊するんじゃからな!
下手なマネをしようと思うんじゃないぞ!」
やり場のない怒りに、イサはイライラを抑えきれない。
「あぁ~、もう!
イライラする!
休憩終わり!
行くぞ!」
ふてくされて、そそくさと砂漠を早歩きで歩いて行く。
「ちょっと待たんか!
まだ全然休憩しておらんではないか!」
その言葉を無視して歩き続けようとしたが、またヘアバンドを縮められたらかなわないので、とりあえず、後ろを振り向き、しゃべり散らす。
「うるさいな!早く捕まってる人を助けなくちゃいけないんだろ!?そんなところで俺達が休憩している間にも、苦しんでる人がいるんだぞ!まったく、とんだ正義の味方様だぜ」
「くっ!
正論を並べおって……、ん!?」
その時、イサを見ていたウーは違和感を感じた。
「どうしたバカネコ!
さっさと行かないと置いてくぞ!」
「イサ!!
おぬし、沈んでおるぞ!!」
「はぁ!?
砂漠で沈むってなんだよ!?
ははぁ、分かったぞ。
お前やっぱり休みたいんだな。
休みたいからそんな訳の分からない事をぬかして、俺の足を止めようとして……、ん?」
自分の足の違和感に気付き、地面を見つめる。
「のわぁーー!!
し、沈んでるーー!!」
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