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少しずつだが、確実に、イサの足は砂漠に吸い込まれていく。
「うわぁあああ!!
し、沈むうぅッ!!」
慌てて、その場から逃げようとする。
「待つんじゃ!
おそらくそこが、トカゲ男が言うておった、砂漠の要塞に繋がる流砂じゃ!」
「待つんじゃって、おまっ!
この流砂が本当に地下に繋がってる確証あるのかよ?
違ってたら死ぬじゃねぇか!!
冗談抜かすな!
待ってられねぇ!!」
そう言い、慌てて流砂から走り逃げようとした、その時。
「ぎゃぁあああ!!
頭がぁあああ!!」
突如ヘアバンドが縮みだし、イサは頭を抱え込んで倒れてしまった。
「馬鹿者!
逃げ出そうとするんじゃない!
ほら、行くぞ!」
そう言うと、ウーはイサの背負ったリュックサックの中に入り込んだ。
イサの体は腰まで砂漠に飲まれていた。
「……うぅ、ちょっと待て!!
マジで本当にここなのか!?
違ったらどうなる!?」
一呼吸おいて、ウーがつぶやく。
「そんときは運が悪かったと思って諦めるんじゃ」
「嫌だぁあああ!!
まだ死にたくなぃいいい!!」
イサの絶叫は虚しく、流砂と共に吸い込まれていった……。
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