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少しウェーブのかかった栗色の髪の毛に、控えめでカジュアルな服装。
意志の強そうな瞳に少し小柄な体。
何はともあれ…可愛い。
だから百竹がその姿を見て動揺してしまい、身動きがとれなくなるのも無理のない話しだ。
ジュースを片付ける店員。
それを尻目に、彼女は俺になんて謝ったらいいか、あくせくしているようだ。
「あの、本当にすいませんでした!クリーニング代とか払いますから!」
「い、いやいや!それはいいっすよ本当に!こんなもん、日常茶飯事ですから!」
「なら、せめて…!」
そういって彼女はポケットから花柄のついた綺麗なハンカチを取り出して俺の服を丁寧にふきはじめた。
別にそこまで気にかけてくれなくても…なんだか逆に申し訳ない。
「もう大丈夫っすよ。
俺から言わせてみれば、こんなもん汚れのうちにははいらないから」
「本当に、ごめんなさい!」
そういって彼女は元の席へと戻っていった。
ふと見るとテーブルにハンカチが残っていた。
彼女のものだ…
百竹は彼女に返さなければとハンカチを手にとった。
しかしその時、
「おいコラァ、百竹!お前何やってんだ!」
そういって肩に先輩が寄っかかってきたのだ。
…酔っ払いを止めることは不可能だ。
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