ある寒い冬のこと

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その場で突然、先輩の説教タイムが始まった。 ようやく説教から開放されたと思ったときには、彼女はもう店にはいなかった。 百竹はハンカチをポケットにしまいこむと、ため息をついてテーブルへと戻っていった。 「しっかし、あの子可愛かったぜ…」 百竹は布団に潜り込みながら、そのことを考えていた。 あのように女の子から優しくされたことは過去にそうそうない。 さらに彼女は百竹の好みだったものだから、なおさら忘れられない。 「もしあんな子が彼女だったら、たまらんぜ…!」 そういってボフボフッと布団を叩く百竹。 しかしここまで妄想をして急に冷めてしまった。 「つっても、べつに彼女と仲良くなれるわけじゃないんだけどな…」 現実はもちろんそうだ。 たとえどんなに可愛くて自分の好みだったからといって、どうなるわけでもない。 電話番号を聞いたわけでもないし、あまりに彼女との接点がなさすぎる。 「はいはい、ねよねよ」 どの道、自分には関係のない話しだと分かっていた。 一時の妄想を楽しんだあと、百竹は眠りについた。
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