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もちろん興味が無いわけではないのだ。
ただ、百竹がとても不器用な男であるということだ。
ちらりと時計を見る。
時刻は午後六時。
飲み会まであと一時間ほど。
「しょうがねー、ゲーセンでスロットでも打つかぁ」
家出るの早すぎたかな、と思いながら、百竹はゲーセンへと向かうことにした。
…とそこで。
「…?」
百竹は歩くのを止めた。
というか、正確には足が固まってしまった。
自分のいる場所からおよそ15メートル先付近。
女の子がティッシュを配っている。
何のことはない風景の一つなのに、その女の子を見て百竹は純粋に可愛いと思った。
というか、昨日ジュースをふっかけてきた張本人だった。
なんというコスモ…まさかこんなところで会うなんて。
無意味にテンションが上がり、口元がにやけてしまう。
……だが昨日の一件だけで話しかけるのはさすがに馴れ馴れしいだろうか?
ふと、そんな考えが頭をよぎる。
一度マイナスに考えてしまうと、続いて気持ちも萎んでしまう。
…いつもの悪いクセだ。
おそらくこのままだと、自分は彼女の目の前を横切ってしまう。
そうしたら、二度とこんな機会には巡り会えないだろう。
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