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ギュッとオレを抱きしめる男の腕に力がはいり、さらに強い力で抱きしめられる。
「よかった」
耳元で男がつぶやく。
すこしくすぐったくて、身をよじる。
「貴方の世界に私はおりますか?私と同じ容姿の者が」
「え?…はい」
世界?
同じ容姿とはたぶん、裕のことだろうと思い、答える。
「よかった」
男の顔から一筋の涙が流れた。
その涙はさっきまでの悲しみによる涙ではなく、喜びによる涙。
「幸せになってください」
男がそうつぶやいた。
ふと、さっき男がいっていた言葉を思い出す。
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