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―充side
春休みに入って早々、たくさんの荷物を乗せたトラックが東城家の前に停まっている。
念願の東城家での生活。
今日は従姉妹の
加藤 敦【カトウ アツシ】が三年間
暮らす東城家に引越してくる日だった。
さぞかし、楽しそうにしているのだろうと思ったが、意外にも仏頂面だった。
「敦!手伝ってやってんだからいい加減にしやがれっ」
荷物を部屋に入れ
戻って来たのは、大学生になった俺、東城 充【トウジョウ ミツル】だ。
やる気なさそうにしている敦を見て、怒鳴ったのだ。
「だって、みっちゃん…おかしいじゃないかっ!今日俺が来るの前から知ってたんでしょ」
叫ぶ敦を無視して、次の荷物を手にする。後少しで終わりそうだ。
「みっちゃんっ!」
「うるせぇなっ!そんなんだから、アヤが同じ日に引越しを決めたんだよ。モモがいても働きそうもないけどな…俺が手伝ってやってんだから、有り難く思え。早く運べよ」
軽いダンボール箱を、敦に向けて投げた。
慌てて受け取るとブツブツと文句を言いながら運び出した。
家の中に入った敦を見届けると溜め息をついた。
「こんなんでこの先、大丈夫か…アヤも徹底してるよなぁ」
そう、礼斗は敦の越して来る日を聞いて、同じ日に自分も引越しを決めたのだ。
百花を自分の所に、来させる為だ。初日から、素晴らしい嫌がらせをしたものだ。
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