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家の人間がよく留守がちだった俺は、小さい頃はその幼なじみ、ベルによく面倒を見てもらっていた。ベルとはあだ名で、本当は鈴奈さん。
二人は同じバンドのメンバーだけれど、といっちゃんこと十市さんは、バンド活動よりも作曲活動が忙しいらしく、最近見かけていない。
「そうや。恭もね、今日から学校来れるんやって」
「もう一人の子? 予鈴鳴りそうだし一回教室帰ろうか。そこで紹介して?」
「おっけーい」
キリーと基を先に生徒会室から出した後、俺は資料を手にした。ふと外を見ると、高級外車が門のところに停まっている。
「……?」
誰かお客様だろうかとあまり気にも止めず、おれは生徒会室の鍵をゆっくりと閉めた。
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