15---仁義と任侠

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  教室に戻り、座席に着く。俺は出席番号が若いので、窓際の前の方だ。 南向き、三階のこの教室は春の陽気に包まれていて、ぽかぽかと眠りを誘う。 「まだあの車……」 さっき生徒会室から見た高級外車は、未だに門のところに停車している。 いかにも怪しげな雰囲気だなぁ。そんなことを考えていると、重たそうな扉がゆっくりと開き、中から人が降りてきた。 遠いからか、やけに小さく見えるその人は、スカートをはいているので女子ということだけが解る。 腰につきそうな位のロングウェーブ、栗色の髪が日の光に反射して目の奥がじん、とした。
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