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「きょーう! おはよう!」
「……基、うるさい」
外にいるときよりも少し落ち着いた色に見える髪が、ふわりと揺れた。
シャツから覗く手首はほっそりとしていて、可憐なお嬢様といった雰囲気だ。
「朝からあんたのテンションについていけないから。あっち行ってなさい。鬱陶しい」
「んもーう、久々の再会やん! もっと感動してやー」
しっしっ、と手で追い払うような仕種を見せて彼女はうんざりしたような顔をした。
そんなことはお構いなしといった様子で基は彼女にべたべたと絡みに行っている。
「感動? 毎日毎日、用もないのにメール送ってきた奴に、感動?」
「だって返事返してくれへんのやもん。恭と会いたかったのにさー」
……冷たい。というより、発言一つ一つにトゲがある。顔や空気からは想像出来ないが、今はっきりと解った。
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