01---卒業前夜

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  ガシャン。夜の公園で、緑色のフェンスが音を立てて大きく揺れた。その他に聞こえて来るのは、時折車が通る音や犬の鳴き声。 所謂『良い子』は家に帰り、寝静まっているであろう時間。 「つぅ……痛いんだよハゲ!」 思ったより硬かった相手の頭を睨みながら、自分の右手を軽く振る。細くて節が目立つ俺の手は、少し赤くなってしまっていた。 じん、と鈍い痛みは苦手だ。ガツンと痛い方が幾分かマシな気がする。 「ひーなた! 日向の方終わった?」 右手の痛みが無くなるようにさすっていると、後ろから大声で自分の名前が呼ばれた。聞き慣れたその声に、ゆっくりと振り返る。 「太陽遅い! 俺まで手ぇ使っちまっただろ」 「悪い悪い。遊びすぎた」 親友の秋川太陽(あきがわたいよう)に声を張る。悪友と言った方が正しいかもしれない。 へらへらと笑いながら俺に近寄って来る。遊びすぎた、と言うにはあまりにも長い時間だったように思えるが。
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