放課後から

7/12
前へ
/74ページ
次へ
家へ帰ろうと、一同がゲーセンを出た瞬間、由梨が 「…あ」 と声をあげた。 「どうかしたか?」 「…あ、ううん、あのね、宿題忘れちゃったみたい。私学校行ってとってくる」 「明日でいんじゃない?今から学校戻ったら暗くなるよ」 宿題は夏休みの最後派、な祐樹がお気楽に答える。 とても今年受験生とは思えない発言だ。 「でも…確か今日で学校閉めちゃうって言ってたから…やっぱ行くね。みんなは先帰ってて」 そう由梨は言うが、これから暗くなる帰り道。女の子一人残して、とっとと帰る男共がどこにいるのか。 「俺らもいくよ。暗くなったら、由梨一人じゃ危ないし」 すかさず希斗が由梨の身を案じる。 「うん♪きっとんが、可愛いゆりゆりが心配で心配でしょうがないらしいから、オレ達もいくよ!」 「…なっ!」 ほんのり赤くなる希斗。 「誰もそんなこと言ってないだろ!?からかうな!」 「えー確かに聞こえたのになぁ~」 こら!と希斗が言うと共に軽い取っ組み合いが始まる。 青が由梨の前に出る。 「……行く」 と一言。 「うん…ごめんね、ありがとうみんな」 みんなを付き合わせて申し訳ないと思いながらも、由梨は、みんなの気持ちがとても嬉しかった。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加