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家へ帰ろうと、一同がゲーセンを出た瞬間、由梨が
「…あ」
と声をあげた。
「どうかしたか?」
「…あ、ううん、あのね、宿題忘れちゃったみたい。私学校行ってとってくる」
「明日でいんじゃない?今から学校戻ったら暗くなるよ」
宿題は夏休みの最後派、な祐樹がお気楽に答える。
とても今年受験生とは思えない発言だ。
「でも…確か今日で学校閉めちゃうって言ってたから…やっぱ行くね。みんなは先帰ってて」
そう由梨は言うが、これから暗くなる帰り道。女の子一人残して、とっとと帰る男共がどこにいるのか。
「俺らもいくよ。暗くなったら、由梨一人じゃ危ないし」
すかさず希斗が由梨の身を案じる。
「うん♪きっとんが、可愛いゆりゆりが心配で心配でしょうがないらしいから、オレ達もいくよ!」
「…なっ!」
ほんのり赤くなる希斗。
「誰もそんなこと言ってないだろ!?からかうな!」
「えー確かに聞こえたのになぁ~」
こら!と希斗が言うと共に軽い取っ組み合いが始まる。
青が由梨の前に出る。
「……行く」
と一言。
「うん…ごめんね、ありがとうみんな」
みんなを付き合わせて申し訳ないと思いながらも、由梨は、みんなの気持ちがとても嬉しかった。
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