~逃走~

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俺は、震えていた。だが恐怖で震えているわけじゃなかった、言いようのない楽しみが目の前にあるので震えていた。俺は一度、こういう体験がしてみたかった。ふと、我にかえると運転手がまだ人の肉を咀嚼していた。死体の周りには血が赤い絨毯のように広がっていた。俺は、ひたすら走った。そして、ビルの裏側に来た。そこに、一人の男がいた。注意深く近づいていき声をかけた。 「あの、大丈夫ですか?」 男がこっちを向き、俺の顔を確かめて「俺は大丈夫だ」と言った。 「あの、名前は?」と俺は言うと「俺は荒井だ、あんたは?」と男は言った。 「俺は、新藤です。」と俺は言った。
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