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ブロロロロ・・・。
愛車なんて動かしたの何ヵ月振りだろう。半年?いや3ヶ月くらいか。3ヶ月くらい前に確かちょっと古本屋に行くのに使った覚えが・・・。古本屋はたまに良い。復刻版じゃない本“平成”のころ売ってたそのものが売ってる。高いけど。
――ブロロロロ・・・ガタンッ。
ガソリンはずっと抜いてたし。でも少しやっぱり調子悪いや。やはりこの愛車の使い道は日向ぼっこと読書の場所としての活用だな。愛車っていうよりお気に入りの場所?
「・・・あのー、亜ーくぅん?」
助手席のところに乗る宮神山賭は言った。
「亜ーくん、何歳?16歳だよね。そーいえば。・・・なんで車運転できるの?免許って18からだよな?」
「・・・・・・」
早速そこをついてきたか。
「亜?」
「・・・運転なんて小学生でもできるよ。覚えればね」
「・・・まさか」
「無免許運転上等」
「亜って“廃絶”の少年の在り方の鑑だな。わぁぉ。で、運転歴は?」
「なめないでよ。6年。丁度10歳の時この車と出逢い、この車で自力で運転を覚えた。でも腕は確かだよ。宮神山賭」
「賭で良いって。フルネーム俺嫌い」
「たった3日間の同居人だろ?贅沢いうな」
「いやいやこれ贅沢、ちゃうでしょ。なあ賭って呼んで」
「その内ね。3日間の内にね。多分呼ばないよ。期待しない方が良い」
「ええ~。呼んでくれよぉ」
「あんまり馴れ馴れしくしないでよ」
―ブロロロロ・・・
「で、と゛こ向かってんの?結構時間経つけど。なぁ亜?」
「・・・着いてからのお楽しみだよ」
「ふーん。じゃあ話題変えよ」
「あんまり馴れ馴れしくしないでって言っただろ?」
「質問その1~、好きな食べ物何ですか~?今日も味噌汁作ったのに食べてくれませんでしたぁ」
「・・・」
小学生か。
でも。
「・・・特に」
僕は答えない。
言わない。
言ってはいけない。
しゃべらない。
食べ物の話をしてはいけない。
食べてはいけない。
食してはいけない。
“五十厭”。
『意味なんて』
「無かったんだよなぁ」
「・・・? じゃ次の質問~」
――キキーッ。
ブレーキを踏む。
「うわぉ。着いたのか?!ちぇ、まだ一つしか質問してねぇのに」
で、ここはどこですかあ?と宮神山賭は訊いてきたので、フードを深く被り直してから言ってやった。
さあ、肝試しだ。宮神山賭。
「マフィアの本拠地」
弱い物は嫌い。
弱い物は好き。
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