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「・・・・・・」
「・・・・・・」
車から降りる。
僕のいつもいる廃市は天気は晴れだった。絶好の読書日和。今日は読書に浸っていようかと思ったけど、予定を変更したのは、宮神山賭が僕の“ 同居人”として相応しいか、テストするため。
だったらここは絶好の試験会場だ。
ここの廃市の天気は曇天。殺風景の崩れた建物の中、一つだけ壊れていないのがある。その目の前に僕は車を止めた。
「・・・おしゃべりの宮神山賭、黙ってないで何か言ったら?」
「・・・・・・」
完全に顔がひきつっている。びびったな。
「正確にいうと、昨日の雇用人の雇ったやつのアジト。どうやって突き止めたかと言うと・・・」
顔がひきつったままの宮神山賭の目の前に血生臭い手帳を出した。
「・・・・・・」
「これ。昨日、君と墓掘っている時、実はあの『全身ピアス』の屍のポケットから探り出した。あいつ正社員だったんだね。驚き。手帳にファミリーネームが書いてあった。あんな呆気無かったのに」
「・・・で、ここで何するの?」
ようやく喋った宮神山賭の口調はカタコトだった。びびってる。びびってる。
「何って、ここのファミリーのボスに頼みにきたんだよ」
「ボンゴレファミリー?」
「馬鹿。違うよ。しっかりしろよ。さっきまでのテンションはどこに置いてきた?」
「車の中」
「よし、じゃあ取ってこい」
強い風が吹く。ここの天気は微妙だな。
「うわわわわわわっ!!」
宮神山賭か゛叫ぶ。
そして――。
「ぷはっ!何この雰囲気!光景!この展開!何なんですか!!亜ーくん!」
「・・・テンション戻ってきた?」
「ういっす!・・・じゃなくてだなあ!!」
――ギイイィィ・・・。
建物のドアが開く。鉄の扉だから風で開いたとは考えにくい。そうじゃないとしたら・・・。
「入ってこいってさ」
「マジ?でホントに何しにきたんだよ。亜」
「だから頼みにきたんた゛よ。そのためには宮神山賭、君が必要だ」
「えっ・・・?マジ?ホント?よっしゃあ!俺の出番か!!」
嬉しそうな顔。
幸せそうな顔。
でもそれも今の内だ。
「じゃあ、入るよ」
「おう!!」
風がまた強く吹く。
僕に風が吹いてくれよ。
―ゲーム、スタート。
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