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――カツカツカツ。
足早に扉から続いている階段を降りる。
だいぶ地下に本拠地があるんだな。もぐらか。
――カツカツカツ。
「俺の出番!俺のステージ!俺の舞台!いやん、俺、ナルシスト?!」
明かりが何もないな。目がなれて平気だけど。
「亜が俺を必要としてくれた!『頼む!賭が必要なんだ!賭がいないと僕は生きていけない!もう駄目だ。頼む!賭ぅ!』」
「おい、さっき言った言葉を捏造するな。気持ち悪い。僕はか弱いヒロインか?」
「ひゃっほぅ!!」
聴いちゃいない。この野郎。
――カツカツカツ、カツン。
行き止まり、一つのドア。
勿論。
「開ける」
そう言って僕はドアを開けた。
「ん~?どっちが“あ”かね?」
ドアを開くと30畳ほどの空間が広がり、ドアから入った丁度その方向に縦に長い黒いテーブルがあった。
奥にいる姑息そうな老人が話し掛けてくる。
「応えたまえ。どちらが“あ”だい?」
壁越しには132人のファミリー。皆黒尽くめだ。
「こわやこわや、くわばらくわばら。・・・僕が“亜”だ」
賭を後ろに回し、僕は前に出る。
宮神山賭は静かだ。
「ああ、君なのかい。私はもっと、がたいのいいやつ・・・、そっちの方だと思ったよ。くく・・・見た目で人は判断しちゃあいけないねぇ」
「グダンドラファミリーのボスだね。はじめまして」
「はじめまして、良い言葉だが君には私はもう会ってる気がするよ。君はこの“3日間”、何人殺った?」
「丁度50人。テストしてたね」
「カジノだよ。ああ、その様子じゃあ私はこれで“50敗”したことになる。残念無念残念無念・・・」
“この3日間”の敵は全てここからか。テスト、いや賭けてたのか。1人が僕に傷でも付けたら一勝。皆傷も付けられずに終わったから50敗。
「卑劣だね」
「何が言おうと、私は負けるのが大嫌いなんだ。さて、本題に入ろう。君は亜くん、私のファミリーに入るつもりはないのかい?」
「無いね」
――カッ
少し薄暗かった部屋にパッと明かりが点る。そしてジャズが流れだす・・・。
ばっと老人は両手を挙げる。
「私はグダンドラファミリーボス嵯峨野博打(さがの ばくち)!ゲームを始めよう!カジノだ!賭けだ!博打だ!ギャンブルだ!私は君が欲しい!私が勝ったら君はグダンドラファミリーに入会!さて君はどうする?!勿論強制参加だ逃げるやつは負けだよ!」
僕は。
「・・・楽しみだね」
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