廃市で生きたこの“僕”

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1.明日もきっと呆気無い空が浮いているだろう。 「ふあーぁ・・・」 今日も呆気無い空が浮いている。 そんな時は“廃絶”、ここは廃市で、僕は今日も本か漫画を読む。 場所は僕の愛車。名前なんて忘れたけど、小型の車で人が上にやっと一人乗れる面積に、そんな面積で僕は寝転がって本を読む。それが僕の毎日で趣味であり日課。 大好きだよ、この暇な時間。愛しているよ、この本達。勿論、君も愛してる、僕の愛車。“平成”の作家さん達アリガトです。こんな素敵なお話を残してくれて。だから僕はこんな暇な時間をこんなに素敵に過ごせてます。時計は車に設置してあるけど、ほとんど見たことない。今は12時06分ってとこか・・・。 お腹は減らない。いつものこと。 あ、眠いかも。でもなあ、今寝たら夜寝づらいっていう自然の法則が・・・。 この廃市には僕一人。ビルとか廃れていく中いくつか立ち、僕はそんな世界の“廃絶”の世の中の何億という廃市の一つの廃市を乗っ取ってる訳だ。なんという贅沢。なんという自慢にもならない街。そしてなんという気まぐれ気ままな僕。 今日も今日とて、読書だ、読書。この廃市の入り口に愛車を止め、その上に寝転がり、今日も今日とて―・・・ ―ジャリ。 「ん」 「・・・“あ”だな。お前が」 黒づくめの三人の男達。 どうやら、僕に問いているようだ。だってここには僕とこの人達しかいないし。 仕方無く僕はその問いに答える。 答えは―・・・ 「そうだけど?」
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