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コインは―――・・・裏だった。僕が先攻。
「あぁ、また負けてしまった・・・。残念無念残念無念・・・。ひひひ・・・」
こいつ。わざと負けたな。大体、どちらが表か裏かも決めていなかったじゃないか。
――・・・後攻の方が有利なのか・・・?
・・・まあ、それもやっていけば解る。
「どうしたんだい?黙り込んでいないで、やろうじゃないか。君が、先攻の君が引かないと、私は何も出来ないじゃないか」
“何も出来ない”、を嵯峨野博打は強く強調して言った。
“何も出来ない”。僕が引かないと自分が引けない。
“何も出来ない”。僕が引かないと“邪魔が出来ない”。
大体ルールを聞いたけど、“クラウン・ゲーム”。どこが道化師なのだろう。何かある。ポーカーではないが顔が隠れるように深くフードを被る。
「ポーカーフェイスはクラウン・ゲームには無意味なことだよ。意味無き、君泣き、意味無き、君泣き・・・。ひひひ・・・」
「・・・・・・・・・」
クラウン・ゲーム。・・・芸でもしてくれるのか?
「さあ、カードを」
僕は目を閉じる。
僕のエースはクローバー。嵯峨野博打はクラブのエース。
僕は云う。
「ハートの4」
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