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それは、驚きの表情。
カードをめくる。
カードは――・・・“ハートの4”。
「――当たったよ。嵯峨野博打。さぁ、貴方の番。これで僕は150点だね」
「・・・・・・っ!何故だ?!どうして当たった?!どうして・・・当たるはずなど2パーセントの確率!“当たるはずなどないのに”!!」
「・・・現に当たったじゃないか。貴方の考えたゲームだ。貴方もこれくらい、できるだろ?」
この空間には僕と嵯峨野博打しかいない。
宮神山賭は連れて行かれた。・・・・・・拷問でも受けてるのか・・・?132人のファミリー達もいない。
まあ、いいや。今はゲームだ。これに勝たなければ、僕はこのファミリーの狗だ。それは困る。
僕は気ままに気まぐれに読書をしていたいんだ。今日は勿論勝って帰る。帰ったら何読もう。考えるだけでも本のことは楽しみだ。
「あ、赤だ!」
おっと思考がホントに違う方向へ行ってた。嵯峨野博打は少し焦ったように、赤と言い、ばっとトランプをめくった。
おっと・・・?
「あ、赤だ!!私は130点だ!!ははははは、ひひひ・・・」
「それって反則じゃないの?」
「!!」
僕の目は誤魔化せない。
「重ねて引いて、良いのかって言ってんだよ」
「・・・・・・」
上手くいけば一石二鳥の手だ。
嵯峨野博打は重ねて二枚取った。素人では見えない程度の重ね方で。一枚にしか見えない重ね方で。マジシャンか。こいつ。
詐欺だ。
二枚目の引いたカードが赤ならそれで良い。でも赤じゃなかった場合・・・『おっと、間違えて二枚引いてしまった』などと言って上のカードをめくればいい。
「簡単なトリック」
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