道化師の遊び

4/11
前へ
/83ページ
次へ
それは、驚きの表情。 カードをめくる。 カードは――・・・“ハートの4”。 「――当たったよ。嵯峨野博打。さぁ、貴方の番。これで僕は150点だね」 「・・・・・・っ!何故だ?!どうして当たった?!どうして・・・当たるはずなど2パーセントの確率!“当たるはずなどないのに”!!」 「・・・現に当たったじゃないか。貴方の考えたゲームだ。貴方もこれくらい、できるだろ?」 この空間には僕と嵯峨野博打しかいない。 宮神山賭は連れて行かれた。・・・・・・拷問でも受けてるのか・・・?132人のファミリー達もいない。 まあ、いいや。今はゲームだ。これに勝たなければ、僕はこのファミリーの狗だ。それは困る。 僕は気ままに気まぐれに読書をしていたいんだ。今日は勿論勝って帰る。帰ったら何読もう。考えるだけでも本のことは楽しみだ。 「あ、赤だ!」 おっと思考がホントに違う方向へ行ってた。嵯峨野博打は少し焦ったように、赤と言い、ばっとトランプをめくった。 おっと・・・? 「あ、赤だ!!私は130点だ!!ははははは、ひひひ・・・」 「それって反則じゃないの?」 「!!」 僕の目は誤魔化せない。 「重ねて引いて、良いのかって言ってんだよ」 「・・・・・・」 上手くいけば一石二鳥の手だ。 嵯峨野博打は重ねて二枚取った。素人では見えない程度の重ね方で。一枚にしか見えない重ね方で。マジシャンか。こいつ。 詐欺だ。 二枚目の引いたカードが赤ならそれで良い。でも赤じゃなかった場合・・・『おっと、間違えて二枚引いてしまった』などと言って上のカードをめくればいい。 「簡単なトリック」
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

138人が本棚に入れています
本棚に追加