廃市で生きたこの“僕”

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さてさて静かになったところだし、もう一度読書再開だ。 本は学歴のない僕の教科書だ。 さっきの黒づくめの人達は“只の廃市に迷いこんだ只の人達”で大人しく帰ってくれた。良かった良かった。 ん、嘘なんて付いてない付いてない。隠してない隠してない。気にしない気にしない♪ さて読書だ。江國香織先生様の『神様のボート』、36回目の読み返し。こんなの読み返し回数では少ない方だ。でもなあ、そうだ。“黒づくめの人達が帰ってくれた記念”に気分転換、否、本転換にコミックを読もう。何がいいかな・・・。そうだ『XXXホリック』を読もう。四月一日よりやっぱり、侑子さんがいいよな。よし、『XXXホリック』のコミックスをじっくり読んで10時には寝よう。良い子は寝て育ちます。 今日のスケジュール完成だ。 さてさて。車を降りてっと・・・。 愛車の中に・・・あれ?ないや。 ああ、物置にしてた廃市の中の元図書館かな?ああそうだ。あそこにはCLAMP先生様のコミックスはあそこに全てしまってあるんだった。復刻版コミックス様万々歳。 さて10分の散歩だ。いや、本探しだ。 「うーん、『カードキャプターさくら』も捨てがたくなってきた。いや『ツバサ』も・・・、いや西尾維新先生様とのタッグの小説、『XXXホリック』も読み返したいかも。いやいややっぱり最初のスケジュール通り『XXXホリック』を読もう」 散歩に10分、図書館に来て1時間57分・・・。 CLAMP先生様のコミックスは豊富で面白いからいつも悩まされる。まあいつものことだけど。 さて、 「よいしょっと・・・」 『XXXホリック』も全巻持ったことだ。愛車のところに戻ろう。 だがこの程度の“いつものこと”が、僕の大切な本を無くすことになった―・・・ ―――・・・びりびりびりびりびりびりびりびり、びりびりびりびりびりびりびりびりびりびりびりびりびりびりびりっびりっ! 「・・・・・・」 「かーっ!こんなくだらない車初めて見たぜ!車内が本だらけっ!この車の価値も知らないで本だらけのくだらない車にしやがって!あーっ!有り得ねえ!!」 くだらない・・・? 「おっ!鍵付いたまんまじゃねえか!!」 盗む気か・・・?“こいつ”。 帰って来ると、短く切った黒髪、だぼだぼのズボン、『I AM FREE!』と書かれたTシャツを着た青年が僕の車の上に座っていた。
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