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びりびり、びりびり。
伝わる殺気。
怖いという恐怖心・・・は、要らない。
要るのは、
「ここを突破する力と度胸だけだ・・・っ!」
地上でのピエロの悪魔の殺人鬼との対面。
嵯峨野博打はニヤニヤ笑ったまま。そう、笑ったまま。
杖をつき、まるで閲覧者のような態度。見学者のような存在。
見物したがっている、下等な人間―――・・・。
「・・・げすが」
「亜、亜ってば。・・・おい」
隣の宮神山賭が話しかけられた。内容はこうだ。
「ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいよ。怖い。亜、立ってるのも“あそこにいるやつ”の前では許されてるっていうか、許可を得ないと立ってていいかが分からな・・・」
ずおん――・・・と恐怖が僕と宮神山賭を襲った。
ただ見つめられただけなのに。
恐怖が、恐怖が。
“分からない”と言う前に恐怖にかられ、宮神山賭は、倒れた。
目を開けたまま。呼吸はかろうじてしている。意識は朦朧としていて、冷や汗がびっしょりと出ている。
「絶体絶命やつか?」
僕は平気だった。
慣れっこだから、当たり前の、久しぶりの感覚。
びりびり、びりびり。
そして――・・・。
「はじめまして。“ヒューマン”」
ピエロの悪魔の殺人鬼は喋った。
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