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殺風景のこの廃市の目印は僕と廃市の前に止まる僕の愛車だった。なのに・・・。
青年はびりびりと僕の江國香織先生様の『神様のボート』を切りながら続けて言った。
「おーし!この本全部外出して燃やして、この車は俺が貰っていこう!!」
「それは滅茶苦茶困るんだけど・・・!!」
僕と僕の愛車と僕の本達の危機と見なし、こいつは“いつも”と違う“敵”と見なし・・・・・・!
「殺しますよっ!!」
―ヒュッ!
ナイフ一発。僕の愛用、投擲ナイフじゃあ無いけど、てか向いて無すぎるジャックナイフ!
「へっ?!」
青年は僕の投げた中型ナイフに気付き咄嗟に避けた。
そんなのまあ反射神経の問題だ。避けようと思えば避けれる速さだ。
「うわっあっぶね・・・っ!なんだお前?!」
聞く耳無し。聞く気なし。
続けて『XXXホリック』を持ちながらの三段跳びからの回し蹴り。コミックスを地面に置くなんて僕には出来ない。
―ヒュオッ!
またもや空気だけを切る音だけが響く。
またもや避けられた。これは自信あったんだけどな・・・。
まあいいや。
たんと着地して最後の足払い。
「おわっ!」
イエス。命中。
青年は見事にこけた。そこでジャカンと愛用の銃を出し、突き付けた。勿論、コミックスは持ったまま。片手である。
「フリーズ、フリーズプリーズ。動かないでよ」
僕はしゃがみ、青年の眉間にぐりりっと銃口を擦り付ける。
反応は如何に?
「ヘ、ヘルプミー・・・・・・!マジですか。それ本物?」
―パンっ!
銃口が火を噴いた。やっぱり片手だと少し反動がくるな。びりびりする。
青年の右側の土に穴が空く。
「キャー!」
なんだ。その悲鳴。キモい。
「それ、僕の愛車、僕の本達。そして君が破ったのも僕の本。どうしてくれるの?“平成”の復刻版小説だよ?貴重な本だ、どうしてくれるの?」
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