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アオノシタ
シトシトと、シトシトと。
教室の外では雨が絶え間なく降り、中では木霊する先生の声。
冷たい風が教室を通り過ぎてゆく。
この眼に映るのは、雨と水溜り、薄暗い灰色の空、暗い色に光が走る。
僕はふと、あの子を思い出した。
早く終わらないかな?
この時間。
あの子怖がりだから、特にあの光が怖くてね。
今頃…部屋の奥で震えながら、僕が帰るのを待っているはず、空に七色の橋が掛かるのを願っているんだろうな。
あぁ…来たのか、偉いね。
怖くなかったかい?
ほぅ…雨は止んだんだね。
おや、もう一度勇気を出してみてごらん…
空気は澄んでキレイなアオが輝いてるよ。
そうか、あの雨は君の心をキレイにしたみたいだ。
今の君は、あの空のように澄んでいるよ。
そうだね、雨というのは空も心もキレイにするみたいだね…
さぁ、帰ろうか?
なにも怖くないよ、僕がいるから。
たまには僕と帰るのも悪くないだろう?
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