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天からたくさんの
雨が降り注ぐ…
雨なんて大嫌いだった。
私の涙を隠すから、
私を孤独にするから
五月末、桜の花はとうに散り季節は梅雨へと移り変わろうとしていた。
泡姫は雨の中を一人、公園のブランコに揺られながらぼんやりと考えていた。
何故、辺りに誰もいないのだろうか…と。
その公園は住宅街の中心に位置していて雲梯、アスレチック、ブランコなど様々な遊具が設置されていた。
薄暗い雲と雨のせいではっきりとした時間は分からないが、大体四時くらいだろう。
普段ならこの時間帯、子供連れの親達で賑わっているはずだ。
しばらく考え込んだが、少しして泡姫は自分があまりにも馬鹿馬鹿しい事を考えてしまったと気づき笑みをこぼした。
…こんな土砂降りの雨の中、誰が好き好んで外に出るのだろうか。よっぽど変わっている人だけだ。
しかし私は決して変わっている人なわけではない。
ただ、今は此処にいるしか仕方ないのだ。
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