プロローグ

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   キスされた……。  それが彼、日野巻高校二年三組在籍の、皆と同じように勉強が嫌いだったり、彼女欲しいなぁとか思っている普通の少年、東原閃(ひがしばらせん)の脳内を占める言葉だった。  目の前の少女が可愛いとか、唇の感触が気持ち良かったとか、実は未だに唇が押し付けられているままだとか、両隣りには二人の少女がいるのにとか、そんなことは微塵も頭に無かった。ただ、キスをされたということだけが、頭の中をぐるぐると回り続けている。  閃が呆けているうちに、少女が唇を外した。  その少女は閃の顔を見上げ、 「うふっ」  妖艶に笑ったのだった。  
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