非情な現実

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 このシチュエーション、夢とまったく同じじゃん!! 「ねーちゃーん、一緒に楽しもうぜぇ」  不良の一人がいやらしい顔で女性に迫る。  なんでだろう、今なら負ける気がしない。俺がやらずに誰がやる!! 「おい待てよ!!」  俺は不良三人組に叫び、女性から注意を逸らせた。  不良はすぐに俺に気付き、頭をこちらに巡らせる。その眼は飢えた野獣のようだ。  よっぽど女に縁がないんだろうなぁ。俺も人のこと言えないけど。 「あんだよ、正義の味方の真似事か?」 「うるさい、それい―――」  俺は最後まで話すことを許されなかった。  突然の前蹴りが俺の鳩尾に突き刺さったからだ。俺は息が詰まり声をあげることもできなかった。  ………ってかいってぇぇぇぇえええ!!思いっきり痛いじゃん!!夢と全然違うじゃん!! 「んだよこの正義馬鹿、めちゃくちゃ弱いな」 「ぐは!!」  蹲(うずくま)る俺に不良は容赦なく蹴りを放ってくる。俺はただ頭を守ることしかできない。  考えてみると俺って喧嘩弱いじゃん!!竹刀ないとなにもできないじゃん!!  だがその後悔も後の祭り、俺はなぜか鳩尾ばかりを蹴られ続けた。  なんか今日鳩尾ばっかり攻められてるなぁ。
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