26人が本棚に入れています
本棚に追加
旅立つにはちょうどいい青空の下、俺は町を歩いていた。石畳で舗装された地面に、石造りの家が立ち並ぶ町だ。
旅立つにはまず情報収集だよな。
ってかなんで俺旅するんだっけ?修業なんてなんでするんだ?いや、その前にこの町はなんて町だ?
「き、キャァァアアア!!」
俺のそんな思考は女性の悲鳴に遮られた。
悲鳴のもとに頭(こうべ)を巡らせると、そこには銀髪を腰のあたりまで伸ばした美女と、三人のチンピラがいた。
女性はチンピラに囲まれており、地面にへたりこんでいる。なのに周りの人は見て見ぬふりだ。
………俺が助けずに誰が助ける!
「待てよ!!」
俺は躊躇することなく女性を庇うように立ち塞がった。
「あんだよ、正義の味方の真似事か?」
「それ以上臭い口で喋るな下衆(げす)野郎!!」
なぜだろう。こんなことを言っているのに恐怖感はない。
「んな!?こんにゃろう!!」
俺の罵倒に堪忍袋の尾が切れたのか、突然チンピラの一人が俺に殴りかかってきた。突然のことに俺は頬を殴られたが、まったく痛みを感じない。
「弱いんだよ!!」
俺は殴ってきたチンピラを刀の柄で殴り、そのまま左手から襲い掛かってきたチンピラを、鞘に納まったままの刀で薙払う。
残りのチンピラは動いていなかったが、むかついたので刀で突く。
どれもみんな一撃で気絶してしまったらしく、倒れたきり起き上がらない。ただ痙攣はしていた。
最初のコメントを投稿しよう!