鬼の子

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『必ずに迎えに行くから、良い子で待っているんだ』   そう告げると、父は私を何処かに閉じ込めた   閉じられた扉は重く冷たい 明かりを取るために作られた格子から離れていく背を見送った   1日が過ぎ、1週間が過ぎ、1月が過ぎた…   それでもまちつづけた 馬鹿みたいに父の言葉を信じていた       『そこで何しているんだ?』 格子越しに後ろから話しかけれた 久方振りの来訪者に驚き、声の出し方がわからなくなった   『父を……父を待ってる……』   振り返るのが怖く、ふりかえることなく答えた   『こんな山んなかに子供をおいていくなんて…でておいで』 『中からは開かないのです』 『開けてやるからでておいで』   重たい扉が開かれた さしこむ光が眩しすぎて、目を細めた
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