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『鬼……』
指差す方向をみるが誰もいない
視線は私に注がれる
嫌な予感がした
それを振り払うように額に手を伸ばした
在るべきではないモノが生えていた
私は静かに涙した
目の前は朱に染まる
嗚呼……私は『鬼』なのですね………
醜い鬼なのですね……
父よ、だから貴方は私を此処に閉じ込めたのですね…
迎えなど最初からなかったのですね………
木枯らしが冷たく吹き抜け、私は元いた場所に戻った
父よ…
父よ…
父よ…
木枯らしが吹く度、私は父を呼ぶ
馬鹿みたいに今も来はしない迎えを待ち続ける
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