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いつかは幸せになれると信じていました。
今の苦しみを知っているから、この先苦しい事も乗り越えていける人になれると信じていました。
痛みを知っているから他人に優しい人になれると信じていました。
だからこそ生きてこれたのだと思います。
世の中にはもっと不幸な人はいっぱいいるし、親や兄弟から暴力を受ける事はそんなめずらしい事じゃないんだから、私は不幸じゃないと信じてきました。
中学生になった頃、母から聞きました。
私は3人兄弟の末っ子で、母は3人とも帝王切開で産んでいます。当時の技術では帝王切開で3人産むという事は命に関わる事だったそうです。私を妊娠した時、医者は中絶を勧めたそうです。父はおろしてくれと母に頭を下げたそうです。
母は㊤兄と㊦兄のあいだに一度流産してしまった子がいるそうで、産めなかった事を思うと自分の意志でおろす事はできないと私を産みました。
母体か子供、どちらかが助からない可能性が半分。両方助からない可能性もあると言われたうえでの決断だったそうです。
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