第一章

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    100年前、旧シェバドの民がたどり着いた星は、大噴火の後か、一部に黒い雲が立ち込めていた事から、ブラッククラウンと命名された。 当初は、不穏な惑星だと絶望してしたが、黒い雲のある反対側には肥沃な大地が広がる大陸があった。 他の候補となる星まで行ける物資は無かった為、この惑星に未来を託すことにした。 最初の入植地として降下した大陸は、比較的穏やかな土地で、先住民も有害な生物もおらず、特に障害の無かったこの場所に首都を築いた。 ある程度の機材を持ち出していた事と1億を越える人口爆発の甲斐もあって首都の基盤は10年で出来上がり、さらに50年程で現在とほぼ変わらない規模となった。 開拓と同時に進められていた航宙技術の研究開発により、40年後には安定した完璧なワープ技術が完成し、当たり前のように銀河間を行き来するレベルに至った。 その過程でハルバードから離脱した国家を発見し、改めて交流も始まった。 首都の開発と共に大陸中に足を伸ばし、各地に街や村を作っていたが、航宙技術の発達により他星の開発も行っていた為、ブラッククラウン全域の調査は100年経っても完了していない。 ハルバードでの惨禍やブラッククラウン入植時の事は機密扱いとしているわけでもなく、過去の災厄を忘れてしまいたい一心から後世に語る事は憚られ、教科書や歴史書でもアレスという国に追いやられ移住することになり現在に至る過程をざっくりと教えられるに留まっていた。 その為、100年の後に当時を知る者が居なくなった現在、首都郊外に記念船として残されている脱出に用いられた宇宙船の1000名程の収容人数から、首都の急速な発展の要因として考えられている10年間の人口爆発は歴史上の謎となっている。
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