第一章

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    新暦100年。 ハルバードでの忌まわしい出来事からの離脱を図り、新たな星に入植してから1世紀が経った現在も国家や人々の環境は安定していて、国民はいつもと変わらない日常を送っていた。 ブラッククラウン最初の入植地で、シェバド最大の都市である帝都セントクロノス。 1000万を越える人々が住む大都会は活気に溢れ、毎週のようにどこかで様々なイベントが行われている程だが、新国家樹立から100年の節目となる今年は、街全体で何時にも増して大規模な祭典が行われる事となっていた。 この街で最も目を引くのが、北の小高い丘の上に国家再建のシンボルとして旧シェバド時代中世の様式を模した外観で造られた高さ50メートル程のアースガルズ城。 祭典の開催に合わせて、皇帝の住居であり政治の中心となるこの城にも装飾や電飾が飾られ、国民を楽しませている。 アースガルズ城の威光が街郊外からでも見えるようにと、市民が自主的に高層建築を避けていたので、見た目の圧倒感と経済の中心は南方の海岸沿いに発展した第2の都市であるシャラザードに譲ることとなった。
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