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「ぐ…。」 俺は黙って、話を聞いている。 こういう場合は勿論、正座だ。 理由は知らない。 アイツは更に続けるつもりのようだ。 「だーかーら、君のような直情型クンでは損ってこった。 分かったかな??ヒロト君??」 満足気な顔がやたら憎い。 「へいへい、どーせ、俺はシンジ君と違ってモテないですよーっと。」 「おいおい、拗ねんなってヒロトォ。」 「うっせ!俺は今、お前の有難~~い説教を反芻してる場合じゃないの!」 「それで参考書に慌てて手を伸ばしたって訳だ。」 ふぅーっと軽い溜め息が聞こえた。 俺は堂島ヒロト。私立大附属の高校3年だ。 この中野シンジとは、高校に入ってからのまぁバカ仲間だ。 一応、受験生だ。そして今は夏休み前ってコトも付け加えておこう。 「にしてもだ、ヒロト。高校最後の夏休み、彼女もいなくて勉強勉強…。お互い寂しいなぁ。」 そう、なんだかんだでシンジのヤツも彼女ナシ。 別にモテない訳じゃないが、全部断ってるんだと。 …贅沢者め。こいつは俺のような飢餓に苦しむ者を知らないとでも言うのか!! 「まぁお前はいいよ、推薦で、上にまんまいけるんだろ??」 「今まで真面目にやったからな」 シンジの眩しい笑顔が炸裂! ヒロトに大ダメージ! 「んで、ヒロト。お前は一般で来るのか??」 「受けるだろうけど、キツいわな。多分近くのN大になるだろう。」 「まだ間に合う。ちったぁ頑張れ。」 「言われなくても頑張るさ、任せとけ。」 ヒロトの眩しい笑顔が炸裂! シンジにノーダメージ! 「はぁ…。ところでさ…」
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