7人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
よく晴れた冬のある日。
かの軍神、上杉謙信に仕える一人の将のもとに、珍しい相手からの贈り物が届きました。
「兼続様、奥州の伊達政宗殿から年末の挨拶にと何かが送られてきています」
「伊達政宗殿から?どれ…」
兼続が箱をあけると、そこには木で出来た人形が…
「これは…?ん、胴に線が…開けられるのか」
ふと開けた箱に目をやると一通の手紙が…
「北からの舶来品じゃ。楽しき物ゆえ送らせてもらう。人形の中に人形が入っている変わり物じゃ」
との事。
「ほう。これは珍しい。どれ…」
次々と開けて行くと、小鳥程度の大きさになり、最後の一つ。
周りにはたくさんの人形が。
さて、開けて見ると…
「ん?これで終わりか。……これは…」
中には小さな紙が…中には
「わざわざご苦労だな、馬鹿正直に開けおって。馬鹿め」
何とも政宗らしい一言が。
「………」
しばし眺めたあと、兼続は筆と紙を用意させて…
数日後…奥州…
「政宗様。直江兼続殿から返礼が届いております」
「来たか。どれどれ…って。なんじゃこの酒は!!」
さぞ悔しがったろうと期待した政宗に届けられた物は…
「先日は珍しき贈り物をありがとうございました。心ばかりですが礼を送らせていただきます 直江山城守兼続」
と書かれた手紙と上質の酒…
「馬鹿め!!これでは送った意味がないわ!!分かっていて嫌味で返しおって!!」
折角の悪戯も直江兼続には通じないとかえって悔しい思いをした政宗でした。
最初のコメントを投稿しよう!