7人が本棚に入れています
本棚に追加
よく晴れた冬のある日。
甲斐の虎と呼ばれる武田信玄…彼に仕える一人の若武者のもとに、珍しい相手からの贈り物が届きました。
「幸村様、奥州の伊達政宗殿から年末の挨拶にと何かが送られてきています」
「伊達政宗殿から?どれ…」
幸村が箱をあけると、そこには木で出来た人形が…
「これは…?ん、胴に線が…開けられるのか」
ふと開けた箱に目をやると一通の手紙が…
「北からの舶来品じゃ。楽しき物ゆえ送らせてもらう。人形の中に人形が入っている変わり物じゃ」
との事。
「ほう。これは珍しい…だが、一度に開けるのは少しもったいないな」
次々と開けて行くかと思いきや、幸村は一日一個というゆっくりとした形で開けて行き…やっと小鳥程度の大きさになり、最後の一つ。
周りにはたくさんの人形が。
さて、開けて見ると…
「ん?これで終わりか……これは…」
中には小さな紙が…中には
「わざわざご苦労だな、馬鹿正直に開けおって。馬鹿め」
何とも政宗らしい一言が。
「………」
しばし眺めたあと、幸村は筆と紙を用意させて…
数日後…奥州…
「政宗様。真田幸村殿から返礼が届いております」
「やっと来たか。どれどれ…って、あやつは何をやっていたんじゃ!!」
さぞ悔しがったろうと期待した政宗に届けられた物は…
「珍しき贈り物をありがとうございました。最後は驚きましたが、素直に全部開けてよかったのですね。」
という内容の手紙…
「嫌味も通じんのか!!山城と違う意味で扱いにくいわ、馬鹿め!!」
真田の他意のなさ(天然っぷり)に呆れて他に何も言えない政宗でした。
最初のコメントを投稿しよう!