送り先3:真田幸村の場合

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よく晴れた冬のある日。 甲斐の虎と呼ばれる武田信玄…彼に仕える一人の若武者のもとに、珍しい相手からの贈り物が届きました。   「幸村様、奥州の伊達政宗殿から年末の挨拶にと何かが送られてきています」   「伊達政宗殿から?どれ…」   幸村が箱をあけると、そこには木で出来た人形が…   「これは…?ん、胴に線が…開けられるのか」   ふと開けた箱に目をやると一通の手紙が… 「北からの舶来品じゃ。楽しき物ゆえ送らせてもらう。人形の中に人形が入っている変わり物じゃ」 との事。   「ほう。これは珍しい…だが、一度に開けるのは少しもったいないな」 次々と開けて行くかと思いきや、幸村は一日一個というゆっくりとした形で開けて行き…やっと小鳥程度の大きさになり、最後の一つ。 周りにはたくさんの人形が。 さて、開けて見ると…   「ん?これで終わりか……これは…」   中には小さな紙が…中には 「わざわざご苦労だな、馬鹿正直に開けおって。馬鹿め」 何とも政宗らしい一言が。   「………」   しばし眺めたあと、幸村は筆と紙を用意させて…       数日後…奥州…   「政宗様。真田幸村殿から返礼が届いております」   「やっと来たか。どれどれ…って、あやつは何をやっていたんじゃ!!」   さぞ悔しがったろうと期待した政宗に届けられた物は… 「珍しき贈り物をありがとうございました。最後は驚きましたが、素直に全部開けてよかったのですね。」 という内容の手紙…   「嫌味も通じんのか!!山城と違う意味で扱いにくいわ、馬鹿め!!」   真田の他意のなさ(天然っぷり)に呆れて他に何も言えない政宗でした。
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