二人の少女

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「高い!もう少しまけてっ!!」 ショートヘアの勝ち気そうな少女が大声をあげる。 「勘弁してよ、お嬢さん」 交渉事に慣れてるはずの防具屋の店主もうんざりした様子だ。 無理もない。少女、ミサはずっとこの調子で30分以上も値下げを求めているのだから。 「お嬢さんだったら、革鎧でも」 「何言ってんのよ、おじさん。あたしに死ねっていうの?!」 「いや、だからね」 そんな暑くもないのに、店主は汗だくだ。 よく見ると彼女は腰に剣を下げている。細身の体に似つかわしくない、幅広の剣だ。 しかし、鞘に美しい細工が施してある。
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