59人が本棚に入れています
本棚に追加
「高い!もう少しまけてっ!!」
ショートヘアの勝ち気そうな少女が大声をあげる。
「勘弁してよ、お嬢さん」
交渉事に慣れてるはずの防具屋の店主もうんざりした様子だ。
無理もない。少女、ミサはずっとこの調子で30分以上も値下げを求めているのだから。
「お嬢さんだったら、革鎧でも」
「何言ってんのよ、おじさん。あたしに死ねっていうの?!」
「いや、だからね」
そんな暑くもないのに、店主は汗だくだ。
よく見ると彼女は腰に剣を下げている。細身の体に似つかわしくない、幅広の剣だ。
しかし、鞘に美しい細工が施してある。
最初のコメントを投稿しよう!