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コクリュウ「にしても暑いな~。
こんな夜に外に出るなんてありえねぇしなぁ」
そんなこと言いながら家に向かって歩く。
コンビニから家まで歩いて7分くらいなので、姉が言った時間を超えることはないから、そこまで焦る必要はない。
コクリュウ≪それにしても、相変わらず薄気味悪いなぁ、異時【コトトキ】山≫
家とコンビニのちょうど間あたりに、木が鬱蒼【ウッソウ】と繁【シゲ】る山がある。
噂では、そこからは、奇妙な誰かの声のような音が聞こえてくるらしく、
心霊スポットとして有名だ。
そんな山の中へ興味本意で入って行くやからがいて、
何人か山中【サンチュウ】へ入っていった人が行方不明になっている。
この山で行方不明になった一人が俺の母さん、柳 紅【ベニ】。
今から12年前、
俺が5歳の時に母さんは何の前触【マエブ】れもなく、俺たちの前から消えた。
ただ母さんがいなくなった時、
山中【サンチュウ】へ入っていったという目撃者【モクゲキシャ】はいなかった。
だが山の入口あたりに母さんがいつも身につけていた紙飾りが落ちていた。
それから山中へ入って行方不明になったと言われるようになったのだ。
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